5回にわたり、当社の代表取締役 山田 武雄に、これまでの事業についてお話を聞きました。
1990年に不動産会社の「株式会社セイブ」、1999年にはハウスメーカーの「株式会社スマイルハウス」を設立してきた山田社長。2社をM&Aで売却後に、当社の「株式会社サポート」を立ち上げました。(株)サポートでは土地の分譲販売や、リフォーム済み中古住宅を扱っています。
第2回の今回は「株式会社セイブ」の頃のお話。現在の事業でも主力となる、「中古再生住宅」を取り扱うようになった経緯を聞きました。「中古再生住宅」とは、住みやすくリフォームされた中古住宅のこと。当時は珍しかった商品です。
――1990年のセイブ設立時、不動産業界はまったくの未経験だったとのこと。苦労もあったのでは?
不動産の世界に飛び込んだとき、経験はゼロでした。右も左も分からないままのスタートでしたが、やってみると不思議と道が開けていくもので、「これは自分に合っている」と自然に感じられました。
当初は、とある大手ハウスメーカーさんにお世話になり、売買のノウハウを徹底的に学ばせていただきました。声をかけてもらい、多くのことを教わったことが、今思えば大きな財産となっています。そうしたご縁と学びの積み重ねが、少しずつ仕事を形になっていったのです。
最初は今とは異なり、仲介からのスタートでした。当時はまだ自社で「不動産買取」ができず、お客さまに提供できる選択肢も限られていました。しかし、5年ほど経ち、ようやく自社で買取ができるようになると、仲介よりも安価に物件をご提供できるようになりました。あのときの一歩は、不動産業として大きな転換点だったと今でも思います。
――その後の展開を教えてください。
中古住宅の買取ができるようになると、中古住宅をリフォームした「中古再生住宅」を販売するようになりました。今では中古住宅を買ってリフォーム後に販売するというのは当たり前になりましたけど、当時は “新築信仰”が強かった時代。中古住宅、そして中古再生住宅は、珍しかったですね。
しかし、だからこそ挑戦する価値がありました。競争もなかったですし、先駆けてやったことで一気に広がっていきました。

――中古再生住宅は、住みやすくリフォームされた中古住宅のことですね。どうして中古再生住宅に挑戦されたのでしょうか?
理由はとてもシンプルでした。お客様のなかに「中古でもいいから、安心して住める家を買いたい」という方がいらしたからです。世の中のスタンダードは新築住宅でしたが、確かに中古住宅を求めるニーズも存在していました。ただ、そのニーズに誰も応えていなかったのです。
しかも、この事業を本格的に手掛けられる企業は限られています。住宅メーカーは中古住宅の仕入れが難しい。一方で、不動産会社はリフォーム体制が整っていない。そんななか、私たちは不動産の取り扱いとリフォーム体制の両方を自社で整えることができました。仕入れからリフォーム、販売までを一貫して手掛けられることこそが、私たちの大きな強みだったのです。
――住みやすくリフォームされると、中古住宅でも人気も高まりそうです。
そうですね。「中古住宅を買ってほしい」という話が自然と入ってくるようになっても、ただ右から左に流すだけでは利益は出ませんし、お客さまの満足にもつながりません。リフォームによって “付加価値をつけて再生する” という発想になります。
――具体的にはどんなリフォームをされたのですか?
私たちが特に意識したのは、ターゲットであるファミリー層が「暮らしやすい」と感じられる住宅にすることでした。
たとえば、和室の畳を洋間に変えて現代的な雰囲気に整えること。また、古いキッチンや水回りを最新の設備に入れ替えること。そうした小さな工夫を積み重ねることで、日々の暮らしが快適になるように努めました。
特に水回りのリフォームはコストがかかります。それでも、生活のしやすさに直結する重要な部分だからこそ、思い切って改善するようにしてきたのです。

――そうすると、購入者にとってのメリットも大きそうですね。
“すぐ住める” 状態にしてお渡しできるのがポイントですね。しかも、新築を建てるよりは当然価格が抑えられる。若い世代にとっては、それが非常に大きな魅力になったと思います。
単に売るのではなく、どうしたらより良いものになるかを考えて手を加える。それがお客様にとっても喜ばれるし、結果として利益にもつながります。
――次回は、1999年に設立したハウスメーカーの「株式会社スマイルハウス」時のお話を聞きます。
第三話に続く
第一回はこちら